第1話「妹はツンデレ」

エフエムと話したあと、すぐにスカンソープ就任の会見が始まった。

通訳はエフエムが務めてくれる。英語ペラペラなことをない胸を張って言う姿はかわいかった。

 

会見

「あまーり監督、スカンソープに就任が決まりました。今の気持ちをお聞かせください」

「はい。とてもうれしいです。このチーム昇格させるために全力を尽くしたいと思っています」

 

「監督しての経験がありませんが、成功する自信はありますか」

「自信はあります。英語も話せない、23歳の私に監督を任せてくれたことに感謝しています。サポーターの皆さんは私のことを信用できない方が多いと思いますが、結果を出して信用をつかみたいと思っています」

 

「補強についてはどのように考えていますか」

「このチームは素晴らしい選手がそろっています。なので補強については考えていません。今考えているのは、このメンバーでどのように勝つかということです」

 

「サポータの皆さんに一言お願いします」

スカンソープというチームは素晴らしいチームです。このチームを昇格させることが私の役目だと考えています。昇格するには
皆さんの力が絶対に必要です。精一杯頑張りますので応援よろしくお願いします」

 

 

「あー緊張した」

「かっこよかったよ。あまーり兄さんはスーツが似合うね。実際に指揮する時もスーツの方がいいんじゃない」

「えー、クロップ監督みたいにジャージ姿でベンチに座りたいんだけど」

「ジャージ姿だと威厳でないよ。細身の日本人がジャージ来ててもみんなついてこないと思うよ」

「そうか。じゃあ目指せアッレグリだな」

俺の目指す道は決まった。モチベーターはあきらめて、戦術家になることにした。

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「で、エフエムは俺の通訳でいいんだよね?」

「うん。サッカーの知識もそれなりにあるからわからないことがあったら何でも聞いてね」

頼りになる妹だ。こんな妹がいるのになぜ前の俺はくずになっていたんだろう。

たぶん妹が可愛すぎてくずになっていたのだろう。かわいさは人を惑わすからな。しょうがないな。うんしょうがない。

 

あとせっかくスカンソープの監督になれたんだ。スカンソープについてもっと詳しく知らなくちゃいけないな。

「エフエム。スカンソープユナイテッドのことについてもっと詳しく知りたいんだけど何か情報ないかな?」

「会長さんからクラブ情報についての資料をもらったよ」

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「1899年設立したクラブなんだな。勝海舟が亡くなった年だな」

「あまーり兄さんって歴史に詳しいの?」

「いや、今ググっただけだけど」

正直あまりピンとくる情報はないみたいだ。

ただ激しいライバルにHull Cityがあるのは気になるポイントだ。来シーズンにはChampionshipで戦えるかもしれないな。

 

「あまーり兄さん。League Oneについても調べたんだけど見てみる?」

「さすが俺の妹だ。愛しているぞ」

「はいはい。わかったわかった。はいこれ」

妹に軽くあしらわれてしまったが、しっかりまとめられた資料をくれた。このツンデレめ!

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スカンソープはオッズが8.00とかなり高いな。期待されているチームみたいだな」

「そうみたいだね。有名なチームはSunderlandかな。つい最近までプレミアリーグに所属していたチームだよ」

Sunderlandといえばモイーズ監督やデフォー、ボリーニがいたはずだ。いつの間にこんなに落ちぶれてしまったのだろう。

やはりイングランドは怖いな。

 

もう一度資料に目を通すとドリームイレブンにスカンソープの選手がいることに気づいた。

「モリスという選手はうちの選手だよな?」

「うん。スカンソープユナイテッドのキープレイヤーだね。」

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いろんなポジションで起用でき、スタミナがあり、キックが正確な選手みたいだ。

ベッカムミルナーのような選手だ。イングランドはこういう選手が多いイメージがある。

「いい選手だな。こういう選手が一人いるだけですごい助かるんだよな」

 

この選手をキーにしてチームを作ることに俺は決めた。