第3話「開幕までの道のり」
「何でクラブ内に呼び出されたの?何か悪いことしたっけ?」
「なんで怒られる前提なの?」
いきなり電話がかかってクラブハウスに来てくれるように頼まれた。
正直怖いがバックレたらもっと大変なことになるのはわかっている。
しょうがないが行くか。
「よく来てくれました。今日は上位提携クラブに関する意見を聞きたくて、来てもらいました」
「上位提携クラブですか。レンタル選手の獲得や、支援金をいただけるクラブのことですね」
「はい、そうです。4つのクラブをリストアップしたのですが、そのクラブにしましょうか?」
提携先の候補は4つ。アーセナル、チェルシー、ボーンマス、トッテナム。
こんなビッククラブと提携できるのか!
「あまーり兄さん、どのクラブにするの?」
「うーん。やはりアーセナルかチェルシーかトッテナムだな。ボーンマスはお金をくれないのであり得ないな」
この3クラブはどこも強豪チームだ。その中でも俺は特に気になっているチームがあった。
「チェルシーにしよう!」
「なんで?アーセナルもいいと思うんだけどな」
「チェルシーはレンタル移籍を積極的に行っているんだ。有名な選手だとアザール弟だったり、ルーカス・ピアソンがいるな。それに、下部組織出身の有名選手も数多くいるんだ。ルベン・ロフタス・チークやアンドレアス・クリステンセンといったトップチームで活躍している選手や、ネイサン・アケ、ドミニク・ソランケといったほかのチームで活躍している選手もいるんだ。だからチェルシーにしよう!」
今シーズンのレンタル移籍は期待できないが、来シーズンはいっぱい選手を借りるぞと心に決めた。
プレシーズンの結果はなかなか良くて自分でも意外だった。
4試合で3勝1分。その1分けもジェラード率いるスコットランドの強豪Rangers相手だった。
「あまーり兄さんの戦術がよかったね。驚いたよ」
「いやいやそれほどでもないよ。正直ここまでうまくいくとは思っていなかったからね」
本当に成功するとは思っていなかった。プレシーズンで俺が手ごたえをつかんだフォーメーションは3つある。
まず一つ目は4-4-2だ。4-4-2のくせして攻撃的というよくわからない戦術だ。
フォーワードが前からプレスかけてボールを回収する。右サイドのウイングのドリブルがこの戦術のカギになる。
二つ目のフォーメーションが5-4-1だ。これも5バックのくせにかなり攻撃的な戦術だ。両サイドバックのオーバーラップで相手の守備を崩す。
最後が4-1-4-1だ。かなりオーソドックスなフォーメーションだが、いろいろなチームで使われているだけあってとても強かった。
「5バックは驚いたよ。勝ちにいかないのかと思ったよ」
「スカンソープはCBにいい選手が多くて3バックを使ってみたかったのだけど、左WBができる選手がいなかったから5バックで挑んだんだよ。正直できすぎた感じはするけどね」
「いやいや、あまーり兄さんはすごいよ」
妹に褒められてうれしくないわけがない。にやにやが止まらないな。
レウィス・バトロイドとジョージ・ホーンショウをレンタル移籍で放出した。どちらも生え抜きで期待の若手なので、この1年間で成長してきてほしい。
また、フットボールディレクターとしてトミー・ミラーと契約を交わした。フットボールマネージャーのミラーにはたくさんの仕事をしてもらうことにした。
「ミラーさんは71歳だから無理させないでね」
エフエムはミラーおじいちゃんの心配をしていたが、スタッフの契約や若手選手の獲得などいろいろな仕事をしていただくので80歳までは元気に過ごしていただきたい。
開幕戦がすぐそこに迫っている。妹にもかっこいい姿を見せたい。勝利でいい酒を飲もう。
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